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鴨太郎と私の異変③

「た、大変です、伊東先生!!」
「どうしたんだ、篠原。騒々しいぞ」
「も、申し訳ありません!でも大変なんです!!!」

慌てて部屋に飛び込んできた部下が告げた言葉に、僕は思わずカレンダーの日付を確かめた。




昴流が結婚する。
本来ならばおめでたいはずのそのニュースは一部の物騒な連中のおかげで、さながらデモ隊のような雰囲気に包まれていた。
断固反対、という鉢巻をつけているゴリラに、総悟サーティーンと化したドS王子、そして石化したまま動かない退に、何を考えているのかわからないマヨラー。

仕事を終えて自分と伊東の分のお茶をもらいに食堂に来た篠原は、そこで周囲の隊士に昴流が嫁に行くという話を聞いて、それはもう息ができないくらい驚いた。

だって、昴流さんは先生の、
と言えるほど二人が進展していないのは、篠原が一番よく知っている。むしろ二人が夫婦になってくれればいいというのは自分の希望に過ぎないということも。
だが少なくとも、他の誰かの元へいくようなことはなかったはずだ。それは思い込みだったのだろうか。
急いで先生の部屋へと戻る。普段ならば廊下を走るなんて真似はしないが、今はそんなことにも頭が回らない。


「た、大変です、伊東先生!!」
「どうしたんだ、篠原。騒々しいぞ」
「も、申し訳ありません!でも大変なんです!!!」

挨拶もなしに襖を開けると、先生が訝しげに眉を吊り上げた。
当然だ。ことの他先生は礼節には厳しい。というか先生が礼節を捨てたら真選組は終わりだ。

「あの、昴流さんが、結婚するって先生ご存知でしたか?」
「・・・・・今日は四月一日ではないはずだが」
「じょ、冗談ではありません。本当です!」
「誰だ。そんなバカなことを言っているのは」

いつものように眉間にしわを寄せる先生には動揺の欠片も見えなかった。
この話がデマであるという確信でも持っているのだろうか。てっきり慌てるか怒るか拗ねるかすると思っていただけに、先生のこの態度ははっきり言って拍子抜けだ。

「あの、先生・・・」
「篠原、そんなくだらないことを言っている暇があるなら蔵に資料を取ってきてくれ」
「はっ、はい!い、いえ、ですからそんな場合では・・・」
「篠原。相手がいなければ結婚はできない、そんなことは常識だろう。いいからさっさと・・」
い、いるんです!!その相手が!!
「・・・・なんだと?」


僕はいまだに整わない息を震わせて叫んだ。先生の次くらいにはポーカーフェイスだと自負している自分だが、今はそうも言っていられない。
僕の言葉にようやく先生の書類を捲る手が止まる。

「一体誰だというのだね」
「万事屋の坂田銀時です」
「坂田君?なんだ、やっぱり冗談なんじゃ・・」
「ち、違います!それは退に確かめました!!」
「・・・・・・・・・山崎君は、どこかね?」


ふぅ、と重い息を吐いて先生が席を立つ。会議室です、と先生を案内する途中にもところどころ項垂れている奴や、叫び声を上げている奴がいる。なんだかんだであの人は、この屯所の紅一点なのだ。


「山崎君、いるか・・・」
会議室の襖を一度開けた先生が、ものすごい勢いでぴしゃりと襖を閉じた。
だがすぐさま中にいた人間が襖を再度開ける。・・・・開けたのは元々鬼の、今はスーパーサ●ヤ人化した沖田隊長だった。

「先生、遅ェじゃないですかい。もう戦は始まってるんですぜ」
「沖田君、なんだねその異常な武装は」
「もちろん万事屋の旦那を殺る為に決まってらぁ。いやぁ久々に暴れますぜ、俺ァ。ねぇ、近藤さん」

二つのバズーカを背に背負い、火の付けられていない葉巻きを加えた沖田隊長の後ろには、「断固反対」と垂れ幕を掲げ同じ鉢巻をした局長の姿があった。他の面々も似たような鉢巻や武装をしており、さながらデモ行進のようだ。
唯一普段通りなのは、土方副長と、退の二人だけだった。もっとも、退は意識がどこか別の世界に飛んでおり、土方副長に至っては、煙草を逆さに吸っている。一応動揺しているようだ。


「近藤さん、念のため聞くが、情報元はどこだね?」
「せせせぇえせんせぇええ!先生!先生!昴流ちゃんがぁああああ!!!」
「落ち着きたまえ!」
「よよよりによって万事屋ってぇええ!あの糖尿病患者に昴流の聖域が犯されるなんてぇええ!」
「話を飛躍させるな!だからそれはどこから聞いた話なんだ!!」

ビィエエエ!!とまるで赤子のように泣く局長では話にならないとふんだのか、伊東先生は目が虚ろな山崎の頭を右手で掴み左右にブンブンと振った。退の身体が振り子のように揺れている。

「山崎君、一体この騒ぎはなんなのかね」
「・・・・・・・・・」
「なんとか言いたまえ!君の姉さんのことだろう!」
「・・・・・・・・・あ、」
「あ?なんだね?」
「・・・・アメーバ・・・・」
山崎ィイイ


どかーん!と大きな音がして、意味不明な発言をした退の頭が畳にめりこむ。
そして誰が用意したのか、「祝」の熨斗が付いた荒捲鮭を刀のように腰のベルトに差すと叫び声を上げた。


「敵本陣は万事屋にありぃいいい!!!」

「「「「「おおーーーーー!!!」」」」」

伊東先生を筆頭に次々と隊士達が飛び出していく。

あとに残されたのは、土方副長と退、そして本来伊東先生の腰にあるはずの刀が一振り。


・・・・・・先生、実はかなり動揺していたんですね・・・・・

なんて、言えるはずもなかった。



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続き待ってました♪
ありがとうございます。
いつも楽しませて頂いてます。これからも頑張って下さい★
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