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鴨太郎との関係性

伊東鴨太郎と山崎昴流の関係性


「・・・・・・なにをやっているんだ、君は」
「見ればわかるでしょ、こっちは暇じゃないの。話かけんなコンチクショー」
「見れば分かるから言っている。それを何故僕の部屋でやる必要がある?ないよな?どこにもないだろう?」
「だって退も総悟もいないんだもん。遊んでくれる人いないんだもん。鴨なら今日非番だっていうから」
「君と違って僕は非番だろうと暇じゃない。というか君、暇なんじゃないか」


伊東鴨太郎は静寂を好む。
だが謀反を起こす前と違って孤独を好むわけじゃない。
いまではすっかり仲間の喧騒を黙って見守るほどに穏やかになったが、無邪気に馬鹿騒ぎに混ざれるほど若くもなかった。だから伊東の今のスタンスとしてはヤンチャな坊主達を見守る保護者的な立場というのが一番的を得た言い方だろう。それでも伊東を騒ぎの中に巻き込もうとする連中はいくらでもいるのだ。
ちょうど、この目の前の女隊士のように。


「鴨太郎、おいでおいで」
「子供扱いするなとあれほど・・・・」
「いいじゃん、とんでもないさびしがり屋のくせに。ツンデレと見せかけて実は構ってちゃんのくせに」
「君が心の中でなにを思おうが勝手だが、それを口に出すな、本人の前で」
「はいはい、寂しがり屋の鴨ちゃんの為に特別に昴流さんがおっぱい呑ませてあげますよー」

動乱の時のことを言われると強くは出れない伊東を見抜いて、昴流は部屋の中にごろんと転がった。
その拍子に今まで夢中で組み立てていたジェンガが音を立ててバラバラと倒れるが昴流が気にする様子はない。

「ほら、おいで。昔よく退とこうして一緒に昼寝したもんだわ」
「僕は君の弟ではない」

そう言いながらも昴流の横に寝転がる。
抵抗する方が面倒なのをよく分かっているからだ。
動乱後、伊東に対して昴流は、今まで弟と年の若い隊士たちにしてきたのと同じように伊東に対してあれこれと世話を焼くようになった。それは母のようであり姉のようでもある。
元々が土方派の人間として非常に仲が悪かっただけにこの変化に戸惑いを隠せない伊東だが、この関係に異論があるわけじゃない。
ただ、退や総悟と違い自分はいい歳をした男なのだから、もう少し接し方を改めて欲しいと思う。

「鴨太郎はいい子だね。いい子、いい子」
「君はまったくいい子じゃないのにな。本当に人の話を聞かない女だ」


昴流が仰向けに寝っ転がる伊東の腕のない左側から身体を抱き込むようにして、伊東の顔を自分の胸に押しつけた。
それは母が子にするように、優しく。確かにそれは自分が憧れた温もりだけれど。
昴流は母ではなく、自分はもうすぐ30になる男だ。
こんな風にされれば、頭に浮かぶことなど一つで。こんな体験を総悟や他の隊士達もしているのだと思うと小言を言わずにはいられない。

昴流君、本当の弟以外にこんなことをするもんじゃない」
「うん?なぁに、鴨太郎」
「だから!」

さらしの巻かれていない柔らかい胸から顔を上げると、そこには柔らかな笑み。
顔中に集まる熱に気付かないふりをしながら、一つしかない腕で身体を起こそうと試みる。
だが昴流の体重が左側にのしかかっていて片腕では起き上がれない。
そうしている内に、昴流が伊東の髪を撫で、いい子、いい子を繰り返す。

昴流君、君は誰にでもこんなことをしているのか」

それは呆れと怒りと・・・大変認めたくはないが恐らく嫉妬の入り混じった言葉だった。
この女に自分が惚れているとは思わない。思いたくない。だが、今まで誰にも感じたことのない、『なにか』を感じていることを否定できない。

伊東の髪に埋まっていた指がぴたりと止まる。
そして一つ、首を傾げると昴流は畳の網目に目を落とした。

「まぁ、多分。こんなに甘やかしてたのは退以外では鴨だけだと思うけど」
「・・・・・・なんだって?」
「だって、鴨」




昴流のその言葉に、僕は今度こそ身体の熱を抑えきれなくなる。



「私がいないと寂しくて死んじゃいそうだから」


いつから僕等はそんな親密な関係になったんだ、とか
その思考回路は一体なんなんだ、とか
言いたいことは色々あるけれど、




「それは鴨じゃなくて兎だ」


今度こそ沸騰した顔面で、そう言うのが精いっぱいだった。
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